青春18きっぷの旅2005-2006冬
東海道本線→ムーンライト九州→博多南線→太宰府→久留米

2005年12月22日〜23日


計画段階

自分は生まれて以来本州を離れたことがほとんどなく、沖縄は1回だけ行ったことがあっても北海道・四国・九州には行ったことがなかった(※01)ので、
青春18きっぷ(※02)のシーズンに夜行列車を使って北海道・四国・九州に行こうと思い立った。
その中で、北海道はそもそも冬にはあまり行きたいとは思わないし、適当な夜行列車がないため、
四国は「ムーンライト高知」・「ムーンライト松山」(※03)の運転開始日が遅く日程が組みづらかったためそれぞれ除外し、残った九州に行くことに決めた。
日程も12月21日(の深夜)〜26日に決め、早速宿および夜行列車「ムーンライトながら」・「ムーンライト九州」(※04)の指定席券の手配を行った。
しかし、行きの「ムーンライトながら」の指定席券が取れなかったため出発を22日朝に変更した。


[1日目:12月22日木曜日]

8時15分頃に自宅を出発。登戸駅には8時35分頃に着いた。
登戸駅の有人改札で1回目のところに改札印を押してもらい、この瞬間から名実ともに「青春18きっぷの旅」が始まった。
8時42分に川崎行きの電車が登戸を出発。朝の通勤ラッシュで混み合う南武線の車内、とても座れないと思ったが、
武蔵中原到着時にできた空席の確保に成功。定刻通りの9時9分に終点川崎に到着。
川崎からは東海道本線の普通熱海行きに乗り換え。特に問題もなく定刻通り10時41分に終点熱海に到着。
熱海からは静岡行きに乗り継ぐ。JR東海管内に入り(※11)、丹那トンネル(※12)を抜ける。
沼津を過ぎると右手には富士山が見えるようになる。
富士を過ぎて富士山が視界の外に去ると、今度は由比あたりで左手に東名高速道路と駿河湾が見える。
11時46分、静岡行き興津駅1番線に入線すると、ここで下車。
興津では島式ホームの3番線に停車している浜松行きの始発電車に乗り換えた。
「興津で下車」のところでなぜかと思われた方もいるだろうが、このまま静岡行きに乗って終点の静岡まで行っても、静岡で乗り継ぐ列車は同じである。
それなら静岡で乗りかえるより興津で降りて始発駅から乗ったほうが席の確保が容易、というわけである。
果たして、思惑通り進行方向左側の窓側の席を確保。
11時57分に興津駅を発車したときには、乗客は数えるほどしないなかったが、
12時14分に静岡駅に到着するとたちまち座席が埋まり、何人かは通路で立つはめとなった。作戦成功。
なお、昼飯は自宅から持参してきたおにぎり3つだったが、静岡につく前に完食した。
金谷→菊川間では茶畑に雪が。
このあたりではこの程度しか積もっていないが、この先では・・・。
13時26分、これも定刻通り浜松駅に到着。ここまでは順調。しかし…
13時30分、始発の豊橋行きが浜松駅を発車。時刻表によれば終点の豊橋には14時2分に到着する予定の列車である。
途中の舞阪、新居町といった駅はほぼ定刻通りに着き、出発していった。二川までは全く問題なかった。
次は終点豊橋。豊橋からは米原行きの快速に乗りかえる予定である。しかし、豊橋駅の手前でスローダウン、そしてストップ。
停止信号によりその先に進めないとのことだが、詳しい原因は知らされない。
前日から北陸方面では大雪のためダイヤが大幅に乱れていたが、その影響がここにまで波及しているのだろうか。
結局分からないまま、数分遅れて列車は終点豊橋に到着。
豊橋に着くと、どうやらすでに発車しているはずの新快速大垣行きもまだ到着していないらしい。
数分して新快速が到着したが、乗らずに次に来るであろう快速を待ちつづける。
これも、先に大垣まで行っても大垣から乗るのは同じ快速なので、待ったほうがいいというわけであるが、
ダイヤが乱れている時は急な運休などがあって、乗ろうとしていた列車が来ない場合もあるのであまりやらないほうがいい。
閑話休題。さらに待つこと数分、ようやく快速米原行きが到着。豊橋駅で待っていた客を乗せると、すぐに列車は豊橋駅を発車した。
窓の外を見ると、豊橋を出たばかりの頃はただの曇天であったが、岡崎・安城あたりでは雪がちらつくようになった。
名古屋市街を過ぎると、外は一面の雪景色となった。
途中駅のホームにも、屋根のない部分には雪が積もっている。
岐阜を過ぎると、道路と田畑の境目がわからないくらい雪深くなった。
揖斐川に架かる新揖斐川橋。河川敷や中州にも雪が。
そして、大垣駅手前でスローダウン&ストップ。
この時点で、もしかしたら大垣で運転打ち切りになるのではないかと危惧していたが、
大垣での打ち切りはされず米原に向かうことに。
大垣を出ると近鉄養老線(現:養老鉄道)としばし並行。
そして徐行運転ながら垂井・関ヶ原を経て、
大幅に遅れながらもなんとか米原に到着した。しかし…
米原では長浜始発の新快速播州赤穂行きに乗りかえる予定だったが、構内放送によるとダイヤの大幅な乱れにより新快速が運転できないとのことで、
10分から15分くらい待たされた末、普通(途中の高槻から快速)網干行きに乗った。
車内で携帯電話を使って「列車運行情報」を見ると、北陸・山陰方面の特急の一部および夜行列車は運休とのこと。
もしかしたら「ムーンライト九州」も運休になるかもしれないので、大阪駅につき次第、駅員に確認を取ることにした。
高槻で普通から快速に化けた列車は定刻より30分あまり遅れて大阪駅に到着。
列車から降りるとすぐに改札口へ行き、駅員に「今日のムーンライト九州は動きますか?」と尋ねた。
駅員は運休などの情報が印刷されていると思われる紙の束に目を通した後、大阪弁で「運休の情報は入っていないので大丈夫だと思います」と返答。
とりあえず今のところは大丈夫そうだが、この時点ですでに時刻は19時を過ぎていた。
当初の予定では新快速で大阪に17時45分に着き、それから新世界や日本橋のほうに行こうと思っていたが、取り止めて梅田をうろつくことにした。
駅前の「ヨドバシカメラ マルチメディア梅田」で携帯電話の充電器を購入した後、夕飯として新梅田の「ちりめん亭」でラーメンを食べた。
その後しばらく大阪駅前を歩き、21時頃には早々と新大阪駅へ。
駅構内の書店で30分ほど過ごして、書店が閉店すると駅構内のコンビニで明日の朝飯を購入し、「ムーンライト九州」が到着する17番・18番乗り場に移動。
本来ならとっくに出発しているはずの
20時51分発特急サンダーバード96号大阪行きと
21時05分発特急北近畿19号福知山行きが到着していなかった。
しばらくして、北近畿19号が18番乗り場に到着し、
大幅に遅れながら福知山に向けて新大阪駅を出発していった。
21時51分、「ムーンライト九州」の発車時刻10分前だが、「ムーンライト九州」も、
その前に17番乗り場の到着する予定のサンダーバード96号も一向に到着する様子はない。
この時点で17番・18番乗り場の発車案内表示は
一番上が[特 急サンダーバード96号20:51大 阪]、
その次が[快 速ムーンライト九州22:01博 多]となっていたが、
少し経って両者の位置が入れ替わった。
それからしばらくして、
ELに引かれてようやく「ムーンライト九州」が新大阪駅17番乗り場に入線した。
そして22時16分、定刻から15分遅れで博多行き「ムーンライト九州」は新大阪駅を発車した。
<2日目に続く>

…とこのままいけばよかったのだが…

ムーンライト九州」はとりあえず新大阪を出たが、先行列車との間隔調整のためか途中で何度も駅間でのスローダウン&ストップを繰り返した。
それでも快速普通を数本追い抜いていった。そして23時58分、網干を通過した直後に車内の照明が減灯された…。

<今度こそ2日目に続く>


[2日目:12月23日金曜日=天皇誕生日]

日付が変わって12月23日、夜行快速「ムーンライト九州」が最初に停車した駅は岡山。
本来は0時23分到着、0時25分発車の予定だが30分以上遅れての到着である。
ここで福山からわざわざ逆行してきた(らしい)熟年グループが乗車してきた。
予定よりだいぶ遅れていることだし、この人たちを乗せたらすぐに出るのかと思ったら、
車内放送によると遅れている特急の接続待ちでしばらく停車するとのこと。
しばらくして向こうのホームに到着したのは特急やくも30号。
本来なら昨日の21時54分に岡山に到着していなければならない列車が、3時間以上遅れてようやく終着。
それから少しして「ムーンライト九州」は岡山駅を予定より約1時間遅れて発車。
岡山を出ると、次は5時5分に厚狭に到着するまで時刻表の上では停車しないことになっている(実際は糸崎、新山口などで運転停車している)が、
車内放送によると福山に臨時停車するとのこと。前出の熟年グループの1人は「わざわざ岡山まで遡ってきたのに意味なかったな」。
福山に臨時停車した後、八本松−瀬野間の通称「セノハチ」で寝台特急「なは/あかつき」とすれ違う。
3時33分、広島駅に運転停車。広島も雪が降っていた。
4時58分、本来ならすでに九州上陸を果たしている時間だが、徳山駅で運転停車。
6時15分、埴生駅通過後に車内の照明がもとの明るさに戻る。
そして、約1時間の遅れを保ったまま「ムーンライト九州」は九州の玄関・門司駅に到着した。
門司を出たところで、新大阪駅のコンビニで買ったサンドイッチを食べる。
窓の外に見える九州の空は曇っていたが、九州内では特に問題もなく進み、
箱崎駅での運転停車を経て「ムーンライト九州」は終点・博多駅に約1時間遅れで到着した。
博多からは博多南線(※21)に乗車するため、新幹線改札そばの券売機で乗車券(190円)と特急券(100円)を購入。
将来は九州新幹線鹿児島中央方面の列車が来るであろう13番・14番線ホームに立つと、博多止まりの列車が次々と入ってくる。
回送されていく列車を何本か見送った後、100系車両4両編成の「こだま623号」が14番乗り場に到着。
降車する客がいなくなると、少し劣化したLED式の側面表示が「[こだま]博 多」から「 博多南 」に変わった。
9時17分、博多南線の「特急博多南行き」は定刻に博多駅を出発した。
博多駅を出て数分経つと分岐が。博多南行きは内側の線路を通って下に潜る。
外側の線路と高架橋はしばらく進んだ後、博多南駅の手前で途切れている。
近い将来新八代から伸びてくる線路と繋がって九州新幹線の本線となる部分である。
9時27分、博多南行き特急列車は博多総合車両所内にある博多南駅の単式ホームに到着した。
博多総合車両所に保管されている新幹線高速試験列車「WIN350」の先頭車。
「ドクターイエロー」922系。現在は後継である923系が運用されている。
博多南駅の近くでも九州新幹線の高架橋建設が進められている。
2011年3月には博多−新八代−鹿児島中央間の全線が開通する予定。
博多南駅からはバスで西鉄の春日原駅へ行く。
バス停につくとすでに9時40分発のバスは出てしまった後だったので、10時5分発のバスが来るまで博多南駅前ビル1階の待合スペースで待つ。
なお、博多南駅自体の所在地は春日市だが駅前ビルは筑紫郡那珂川町にあり、3階には「まちの情報発信基地」が入っている。
待つこと約20分、ようやく西鉄春日原行きのバスが来た。
春日原からは西鉄天神大牟田線の普通列車に乗り、3つ先の都府楼前で下車。
小雨が降る中、橋を渡って県道76号線を東に進むと大宰府政庁跡に到着。
雨が降っているにもかかわらず、小中学生十数人が走りまわって遊んでいた。
中央にある石碑には「都督府古趾」と記されている。
開店休業状態の大宰府展示館には入らず、再び県道76号を東に進み、
西鉄大宰府線(※22)が見えたところで線路沿いに北東方向へしばらく歩くと大宰府線の終点・太宰府駅に到着。
早速太宰府天満宮に行きたい所だが、その前に腹ごしらえを。昼飯は「ラーメン暖暮太宰府駅前店」でラーメンと餃子を食べた。
昼食後、太宰府天満宮に向かう。参道には梅ヶ枝餅(※23)などいろいろな土産物を売る店が軒を連ねていたが、何も買わず天満宮へ直行。
おもしろ電話ボックス・九州太宰府編。
左にある郵便ポストに各種試験の願書を投函する人はどれくらいいるのだろうか。
太宰府天満宮境内にある神牛の像。
頭を撫でると知恵がつくといわれているが…。
「カップルが一緒に渡ると縁が切れる」との俗説がある太鼓橋。
何も知らずにこちら側に渡ってきたカップルのその後はどうなったのだろう…。
豊臣秀吉の「軍師」として知られる黒田如水が
この地に隠棲していた際に使ったといわれる井戸。
九州国立博物館へは、
このエスカレーターを使用するか山道を(徒歩または車で)登らないと行けない。
西鉄のグループ会社が経営する「だざいふ遊園地」。
一通り境内を見た後、
長いエスカレーターと通路を経て10月に開館したばかりの九州国立博物館へ。
九州国立博物館見学を終えると太宰府駅に戻り、西鉄福岡(天神)行き普通列車に乗車。
西鉄二日市で大牟田方面の普通大善寺行きに乗り換え、西鉄小郡で下車した。
小郡からは甘木鉄道(※24)で基山まで行き、鹿児島本線に乗りかえる。
小郡駅(国鉄時代は筑後小郡駅)は、時刻表では小郡市の代表駅とされているにもかかわらず、単式1面1線の小さな無人駅である。
階段を上がって高架のホームに着くと、小学生と思しき子供が数人、レールバスが来るのを待っていた。
時刻表を見ると、基山行きは行ってしまったばかりで30分ほど待たされることに。
10分ほどすると基山方面からレールバスがやってきて、
子供たちを乗せると甘木方面へと去っていった。
この時点で小郡駅のホームにいるのは自分と、数分前に来た老婦人のみ。
さらに20分ほど待って、ようやく基山行きのレールバスが小郡駅に到着。
レールバスは2人を乗せて小郡駅を出ると、7分後に終点の基山に着いた。
基山からは鹿児島本線で南下するため、鳥栖行き列車(※25)に乗車。
3つ先の終点・鳥栖で下車すると、ホームを挟んで向かい側に停車していた熊本行きワンマン列車に乗車。
15時33分、鳥栖スタジアム(※26)を左手に見ながら熊本行き列車は鳥栖駅を発車した。
2つ先の久留米で下車し、水天宮と久留米城跡を見にいく。
久留米駅前には、このようなからくり時計が設置されている。
安産の神として知られる水天宮の入口。
東京・日本橋蠣殻町にある分社
(最寄り駅は地下鉄半蔵門線の水天宮前駅)のほうが本宮より有名。
久留米城(篠山城)跡。現在は石垣の上に「有馬記念館」が建っている。

3連休の1日目で住民の多くが他所に出かけていたのかもしれないし、小雨が降ったり止んだりといった天気のせいもあるかもしれないが、
久留米の町は人通りがほとんどなく活気が感じられなかった。駅に戻ると、八代行きのワンマン列車に乗り、熊本駅まで行く。
冬至を過ぎたばかりなので、17時半くらいには外は真っ暗に。

熊本へ進む


※01:沖縄には1996年に高校の修学旅行で行っている。その後、2009年の四国巡りの旅で47都道府県訪問を達成。
※02:1日間JRの普通列車・快速列車の普通車自由席と宮島航路(→JR西日本宮島フェリー)が乗り放題になるきっぷ。5回分で11500円。
別に指定席券を買えば普通車指定席に、グリーン券を買えばグリーン車自由席に乗車できる(グリーン車指定席には乗れない)。
ごく一部の例外を除き、特急列車・急行列車には乗れない。
※03:「ムーンライト高知」は京都−高知間、「ムーンライト松山」は京都−松山間で運行されていた臨時夜行快速列車。
両者は京都−多度津間で併結されて運転されていた。すでに廃止されている。
※04:「ムーンライトながら」は東京−大垣間を走る夜行快速列車。
かつて定期運転1往復に加え、多客時は臨時列車「ムーンライトながら91号・92号」も運転されたが、2013年現在は臨時列車のみ存続。
「ムーンライト九州」は新大阪−博多間を走る臨時夜行快速列車だったがすでに廃止されている。

※11:JR東日本とJR東海の境界駅は熱海駅の他に国府津駅、甲府駅、辰野駅、塩尻駅がある
(熱海駅は在来線部分はJR東日本、新幹線部分はJR東海が管理。他はいずれもJR東日本が管理)。
※12:1934年開通。このトンネルの完成によって東海道本線が御殿場回り(現・御殿場線)から熱海周り(旧・熱海線)に変更された。

※21:博多−博多南間の在来線。博多総合車両所への回送線を1990年に旅客線化。
在来線だが全列車が新幹線車両を使い、特急として運転しているため、本文にあるとおり乗車券の他に特急券が必要。また、青春18きっぷは使えない。
※22:西鉄二日市−太宰府間の路線。列車はほぼ半数が天神大牟田線の西鉄福岡(天神)に直通、残りは線内運転。
※23:うめがえもち。菅原道真に縁のある、太宰府名物の餅。
なお、「桃太郎電鉄」の1作目に太宰府の梅ヶ枝餅屋が隠し物件として登場していたことはあまり知られていない。
※24:基山−甘木間の甘木線を運営する第3セクター。元は国鉄甘木線。
※25:快速だが、この列車は二日市→鳥栖間は各駅に停車する。
※26:Jリーグクラブ・サガン鳥栖のホームスタジアム。2011年現在はネーミングライツにより「ベストアメニティスタジアム」を名乗る。


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